トールペイントはヨーロッパからアメリカへ、
移民の人々によって持ち込まれました。
ヨーロッパの伝統的装飾技法を土台にして、
木、ブリキ、ガラス、陶器、布などあらゆる素材に
絵を描くことを総称して
“トールペイント”または “トールペインティング”と
日本では呼んでいます。
アメリカでは、40年ほど前に
“デコラティブペインティング”と呼ばれ、
新アートとして認知されました。
それは、パターンを使って合理的にシステム化された
テクニック指導法で、誰でも親しみやすく
上手に描けるという理由で
大きな花を咲かせたのでした。
また、油絵の具から、
色が豊富で濃度も使いやすくなった
アクリル絵の具の誕生がブームに拍車をかけ、
クラフトとしての地位を確立しました。
(資料提供・監修:バルーチャ美知子)
18世紀中頃から、およそ100年間をピークとして
現在に至るまで、
欧米の人々に愛用されている
絵の施されたブリキ製品をトールといいます。
ブリキ製品といっても、正確には薄い鉄、
または銀の上をさらに薄い錫で覆い、
耐熱にするために炉で熱処理して、
滑らかな表面に仕上げられた製品を意味しています。
トレイ、大皿、水差し、マントルピース
などに使われました。
トール(tole)とはフランス語で
鉄の薄いシート状、
または
平板状のものを意味する“tole”
からきています。
アッセンデルフトは、オランダの首都・アムステルダムから
15kmほど北に位置する町の名です。
17世紀頃、この地方で家具に花や風景や肖像画を
描くことがブームになりました。
豊作や豊漁、人の幸福を願って描かれた
このフォークアートペイントは
現在では、その技術を伝える人が少なくなり、
とても貴重なものになっています。
アメリカントールペイントとの違いは、
丸筆を使い、ひとつの筆に数色の絵の具をつけ、
混ぜ合わせないで一筆描きすることで
微妙に色が混じりあった
美しい花びらや葉っぱが描けます。
描く時間がとても短いのも嬉しいことです。
また、下絵を写して描くので、誰にでもできます。
家具などの木製品はもちろん、
金属、布、ガラス、プラスチック,革製品などに
描くことができるので、
傷のある家具やお菓子の空き箱や空き缶などの
リメイクを楽しむこともできます。
フランスのトールペイント技法で、
『フレンチフローラル』
と呼ばれています。
花が、とてもリアルに描かれています。
ロシアのジョストボとよく比較されますが、
フレンチフローラルの方が、
色が淡く、
花や葉のハイライトは盛り上がらず、
滑らかにブレンドされています。
それは、まるで水彩画のような
雰囲気を感じさせます。
